ys10's diary

読み読み書き書き。

読み上手 書き上手

 長い人生を生きる上、いついかなる状況でもついて回る「読む」ことと「書く」

こと。得手不得手は人それぞれかと思いますが、恐らく筆を取る職業に就いている方

を除き、あまり得意でない人が殆どかと思います。

 今回読んでみたこちらの本、”読み上手 書き上(ちくまプリマー新書)”。著者は教育学や言語能力など多数の著書で知られる斉藤孝氏で、提唱する「斉藤メソッド」は様々な教育現場で活用されたりと、多岐にわたり活躍されています。

「書く」と「読む」はつながっている

 著者曰く、読まない人は書けない。普段から本を読まずに、人に見せられる文章は書けないと言います。確かに、僕たちが普段ブログやtwitterなどのSNSに投稿する文章は、何気なく頭に浮かんだことをとりとめのない文体で打ち込んでいるといったものが多くを占めます。その時他人に読まれることを、多少意識するにしても、形式的な文章を書く時ほど推敲を重ねたりすることはないでしょう。日頃からいい文に触れ、「書く」スキルへの足腰を作っておくことは、「読んでもらう」文を書く上での大前提なのです。

読みっ放しはNG

 普段から本を読むことは大事といいましたが、ただ漫然と読むだけでは読んでいないのと同じになってしまいます。時間をかけて読んだからには、それを自分のモノにしたい。そこで、本書では「読みっぱなし」を「使える読書」へ昇華するために必要なアウトプットの例をいくつか挙げています。

ポップを書いてみる

 書店などで本に添えられている紹介分のようなものです。何気なく友人に本を薦める感覚で書いてみたり、キャッチコピーのように一言だけで感想を表すといいでしょう。

推薦文を書く

 ポップよりも長めの推薦文を書いてみましょう。推薦文と聞くと何やら難しそうに思いがちですが、自分のお気に入りの文や、印象に残った個所をまるまる引用し、そこに自分の感想を付け足していくやり方だと、楽にまとまった文章が書けます。

書き込んでみる

 古本屋で買い取ってくれないほど書き込みをしましょう。読んでいる最中にも手を動かして線を引いたり書き込みを入れることで、内容の定着度も変わってきます。

「書く」練習で必要なこと

 書く練習には「課題設定」、「発問」が有効と著者は言います。どちらも、本を読む上で視点をどこに置くかを決めておき、書くときにそこに意識を置いて書けばよいからです。いざ文を書くことになると、何からどう書けばいいのか分からず、文に起こしてみても繋がりが曖昧だったり筋が通っていなかったりするのはよくあることです。そこで、視点を定め、その点から見えたもののみを書けば、それらの悩みは解消されるでしょう。「発問」とは、読んだものに対し疑問を投げかけてみること。「なぜそうなるのか?」を考えることで、そこからさらに議論が展開し、より格調高い文章に一歩近づけます。

知的関心を広げる

 こうして読み書きを繰り返していると、必ず自分の興味のあるキーワードにひっかかりを覚える時が来るでしょう。そんな時は、すぐさま調べてみること。調べて、気になる書籍があれば即決で買うことをお勧めします。直接に興味のなかった分野にも、自分の好きな本や作家から興味を抱いたり、そうして知的関心は芋づる式に広がっていきます。潜在的な興味に気付かずにいるのは損だと思いませんか?

最後に

 本を読めること、また書けることはより人生を豊かにするためのエッセンスだと思いました。若者の読書離れが著しいですが、勉強のためではなく、これからの人生の為に本を読んでいきたいですし、その足掛かりとして本書は素晴らし役割を果たしてくれると思います。