ys10's diary

読み読み書き書き。

遅すぎた就職活動

 物事を始めるのに早いも遅いもないと言うけれど、こと就職活動に関してはその理屈は当てはまらない。今年から経団連の規定変更により後ろ倒しになった就職活動だけど、七月に入り、今から活動に本腰を入れようとしている危機感のない学生は僕くらいだと思う。周囲はもう決まり始めていて、すでに就職活動を終えている学生も多い。それでも危機感より、自分が社会で認めてもらえない不安の方がいまだに先行してしまう。

 

 大学生活を送る最中、一度も就職を意識しなかったなんてことはない。一回生のころから大学側で就職に対する意識喚起の呼びかけや働きかけもあったし、三回生の時には就職ガイダンスに参加したりもした。まだ就活まで一年の猶予が残されてる二回生の頃でさえ、将来への不安に苛まされたことだってある。けれど、考えれば考えるほど、知れば知るほど、就職に対する不安と恐怖心が拭い切れなくなった。

 

 僕は初対面の人と会話できない、極度の人見知りである。それに加え、他愛もないようなことで傷ついたり考え悩むような性格で、メンタルは人並み以上に弱い。経験が浅いせいか、人と会話するときも気の利いた受け答えができなかったり、話題の引き出しもすくないため、人との会話が続かない。この致命的なほどの自分の非社交性ついて、高校を卒業するまでは、クラスというコミュニティに守られてたからかは分からないが、全くといっていいほど気に留めなかった。実感が湧いてきたのは大学入学後間もなかったと思う。これまで数少ない友達の陰に隠れて友達の友達が会話しているのを傍で笑っていただけの僕が、一人間として大勢のなかに放り込まれたとき、ようやく自分の人としての欠落に気付かされたのだ。これまで普通に幼稚園、小学校、中学校、高校と、人との付き合い方を誰に教わるでもなく学校生活で身につくはずの、そして社会に出る上で最も必要な部分が僕には決定的に欠けている。人の輪に入れる会話スキルもなく、人に誇れる何かがあるわけでもなく、ほんのちょっとした長所も一つもない、人としてあまりに空疎過ぎる。透明人間もいいとこである。そして、現実を突き付けられた僕は、頭を抱えて現実逃避し始めた。人と話すことが苦痛で、なるべく人を避けた。人前で話すと声が震えて恐ろしく惨めな思いをするので、発表の機会がある授業はすべて切った。とにかく人とかかわることを避けた。

 

 昨日親に相談のつもりで現状を吐き出したところ、とてつもない剣幕でのお叱りを受けた。この時期までなんのアクションも起こしてないというのだから、さすがに無理もないと思う。真剣に悩んでいることを伝えたところ、「甘えるな」と厳しい答えが返ってきたし、留年もニートも許さない、絶対に今年中に受け入れ先を決めろと叱咤された。親に叱られてようやく気付いた。何もせずこのままのたれ死ぬわけにはいかないのだ。今変われなかったら一生変われない。このまま暗い半生を頭を垂れたまま惰性で生き抜くのか、それとも変われる可能性を信じて茨の道をいくか。どうせ無理でも思いっきりぶつかってから分かる方がいい。今からでも遅くない。絶対に就職して見せる。人として誇れる何かを掴んでみせる。