ys10's diary

読み読み書き書き。

読書で賢く生きよう

 ベスト新書から、”読書で賢く生きる”を読んでみました。ここ最近読んだ本で一番おもしろかった気がする。

 

読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

 

 

 

 著者は中川淳一郎氏、漆原直行氏、山本一郎氏の三氏で、各々の読書観と、三者による談話形式で構成されています。談話の部分はとあるトークイベント「ビジネス書ぶった斬りナイト」のプレイバックで、三者が昨今のビジネス書事情について論ずるのですが、結構な割合でdisり散らかしててこれが面白い。著者それぞれが持つ読書観も非常に為になりましたが、歯に衣着せぬ本音のぶつかり合いは読み応え大でした。著名人のビジネス書を片っ端から容赦なくぶった斬ってます。

 

 読本の選び方や、読み方のハウツー本なんて今日び珍しくなくて、正直「本を読むための本」なんて変な話だと思うのですが、本を読むにしてもどう選んでいいかわからないと悩む人は実は少なくない。これから本を読もう!と意気込んでる人達は、たくさんの本を読み、ゆくゆくはその知識を仕事上に活かし、充実した生活を手に入れたい。と考えてる人達が殆どでしょう。(単に本を読んでることがステータスと考えている人もいそうですが、そういう人はもれなくdisられてます)そういった人たちがありとあらゆるビジネス書に手を出すわけですが、実際にそれで人生変わりましたか?そこから得た何かはご自身の糧になっていますか?と問われた途端閉口してしまう。。。という人は意外と多い。僕もその一人かもしれない。ビジネス本を読んで、効果が得られないと無駄になってしまうのに、本の選び方がおかしかったり、読んでも身に入らなかったり、結局読むのをやめてしまったり。。。そんな人が後を絶えないのも事実。

 本書はそんな悩める人たち、残念な人たちの助けになるかもしれない。普段から読書を習慣化してない人に陥りがちなビジネス書の落とし穴を、三方が浮き彫りにしてくれます。

 ビジネス書あるある

 世に多くのビジネス書が出回っていますが、実はその多くが既存のメソッドの使いまわしということ。そして、そういったビジネス書に踊らされてる悲しい人達。さもビジネス書を読んでいることがステータス化してしまっている人たちを、「ビジネス書あるある」と皮肉ってます。たしかに自己啓発本を読んだ後は自分がまるで成長したかのように錯覚しがちですが、僕の場合次の日にはその興奮が冷めてしまってて、そのままその本を読み返すこともありません。たぶんそういうのは良書ではないんだと思います。良いビジネス本というのは、単なる理想論の押し付けとかではなく、地に足の着いた、常識的かつ現実的な実践本なのかもしれない。そして大事なのは、テンプレ化したビジネス本でなく、古来からの名著、現在のビジネス書の源流に位置するようなものを読むこと。そういった本は、本書内でもいくつか紹介されています。

 

 

同じ著者の本を繰り返し読むこと

 これは良い読書術とは少し離れるけど、個人的に共感できて、これから実践しようとも思った箇所。中川淳一郎氏曰く、何度も読むことでその著者の文体や考え方が身に付くということである。文章上で個性を出すには、まず自分の文体を確立しないといけないわけだけど、その近道に、誰かしら自分の師匠となる物書きを見つけ、その人の文体を真似てみること。武士道に守破離の精神というものがあったと思うけど、オリジナルの確立に模倣は不可欠ということである。

私としては最良のビジネス書とは、ロールモデルとして崇める人の著書にあると考えている。椎名氏、東海林氏、吉田氏のようになりたいと考える自分がいる。だったら「師匠」である彼らの人生を、著書を通じて学ぶことこそもっとも役立つのである。

ビジネス書を賢く読む

 ビジネス書で失敗する人は、ビジネス書をよりどころにしてしまう人が多い。過度に期待しすぎず、あくまで一教養として目を通すぐらいが丁度いいわけです。ただ、そうなってしまう人たちにはサラリーマンが多く、会社にや上司に翻弄され、自分の高め方がわからなくなってしまっている、漠然とした不安を抱えている人に良くみられるそうで、追い詰められて盲信的になってしまっているわけです。ビジネス書を読むときは、むしろ懐疑的な目線で読むくらいでもいい。

冊数にこだわることなかれ

 そもそも本とは情報の集合体であり、その分野の知識体系です。読書とは読むことが目的なのではなく、知識を取り入れ、それが血肉となって自分の中に生きるかが重要なのです。本の数を競うように読んだり、本を読んでますアピールしてしまう人はまさしく本末転倒だし、少なからず周りからイラっとされていることでしょう。文字を追うだけの作業に何の意味もないし、そもそも時間の無駄です。読書家の中には一年で何冊読めだとか、根も葉もないことを吹聴する輩もいますが、鵜呑みにしないこと。必要なのは速読より精読で、精読を重ねることで速さもつきます。そして何よりも忘れていけないのが、楽しんで読むということ。読書は本来楽しいものです。自分の好きなように、好きな姿勢で、好きな時間に、好きな本を読みましょう。それに尽きます。

立体的に物事を知る

 ある一つの分野での知識を養いたいのであれば、その分野について書かれた本を複数冊にわたって読むこと。一冊の本から得られる視点は一方向で、別の本を何冊か読むことで多くの切り口から物事を見ることができる。そうして立体的な知識体系が出来上がっていきます。ある分野に関する本を一冊読んだだけで、その真髄は知りえないのです。

 

 一先ず読んだところまでで感じたことなど書いてみました。まだ書き足りない感がありますが、もう少し感想がまとまってからにします。ともあれ、久しぶりに読み返したいと思える本だったと思います。自分の読書方法を立ち返る機会にもなったし、もうしばらく時間を置いたらまたこの本についての記事を書いてみたいと思います。