ys10's diary

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借りぐらしのアリエッティ 感想

 TSUTAYAレンタルで「借りぐらしのアリエッティ」を借りてきて観ました。とてもよかった。これまでのジブリ作品と比べると失速してるなんて評価もありましたが、僕はこれまでの作品同様に楽しんでみれました。主人公の女の子が小人という非日常的な設定にも関わらず、ファンタジー要素は意外に少ない。それゆえに壮大さやスケールの大きいストーリーではない。もし現実世界に、都市伝説で語られてるような存在の小人が隠れているとしたら...というノンフィクション寄りのお話でした。

 

借りぐらしのアリエッティ [DVD]

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人間からモノをこっそり借りる「借りぐらし」

 アリエッティ達は人に見つからないように人間の家に隠れ住み、身の回りの生活用品や食べ物は人間から拝借して暮らしている、「借り暮らしの一族」なのだそう。言い方を換えれば「盗み」と大して変わらないんだろうけど、あえて「借りる」と言うところに、なにか「借りぐらし」の弱者的な肩身の狭さを感じる。この作品で登場する小人はアリエッティアリエッティの父、母、ともう一人の4人だけで、それ以外の小人達は人間に見つかって行方不明になったり、移住を余儀なくされるなど、小人にとって非常に厳しい現実世界。人間(のモノ)に依存しているにかかわらず、人間に見つかればアウト、外の世界も天敵だらけ。「借りぐらし」は、いつ自然界から淘汰されてもおかしくない種族なのだろう。

 

小人目線で見る世界

 この作品のひとつの見どころは、「小人目線」。舞台はなんの変哲もない屋敷のようなところなのだけど、小人からするとちょっとしたダンジョンである。普段の何気ない風景が、ミクロ目線で見ると非日常へ変貌する。そこのところの細かい描写は「さすが」って感じでした。あと、人が寝静まった夜に砂糖とティッシュを調達しようとするするシーンがあるのだけど、様々な装置や小道具を駆使して目的のモノを「借り」に行くところとか結構リアルで面白かった。手足に両面テープつけて壁を登るところとか。最初「かりにいく」ってセリフ聞いたとき、「狩り」の方かと思ったけれど、多分「借り」でしょう。「借りぐらし」なんだし。それから、数センチの小人目線で見た世界は脅威だらけだとも思った。アリエッティは好奇心旺盛で物おじしない感じの女の子だけど、臆病者の小人だったら一歩も外に出たくないよな...とか思ったり。

 

小人と人間

 もののけ姫しかり、異人種間に信頼関係や、はたまた恋愛感情が生まれたりするパターンはよくあるやつで、この作品にもそういう描写があります。アリエッティは翔に対して具体的にどういった感情を抱いていたのか、心理描写に鈍感な僕には難しかったですが、別れのシーンで見せた涙から察するに、もう会えない寂しさみたいなものはあったんだと思う。別れの寂しさもありながら、翔のように優しい心をもつ人間がいることに気づき、エンディングではこれからの険しい移住の旅にも希望に満ちた描写になっていて、終わりも素晴らしかった。

 

改めてジブリ作品の素晴らしさを感じた

 今日初めて見たわけではなくて、いつぞや金曜ロードショーで放送されてたのを途中から見たことがあったけれど、改めてしっかり見ると以前よりも面白く感じた。大まかなストーリーだけでなく、ジブリ作品は細かい描写に面白いところがあったりするので、誰かと観るのもいいと思うけれど、一人であれこれ考えながら観ると面白いと思う。あとやっぱり背景や音楽が素晴らしいし、ジブリ特有の鳥肌が大げさに立つ描写やら、軽快に走り抜けるところも「ジブリあるある」として楽しんで観れた。観終わった後、ほっこりとした気分になれました。