ys10's diary

読み読み書き書き。

僕の青春漫画

 どうもこんばんは。6月も終盤、雨のない日の蒸し暑さに頭がやられそうですが、夜は涼しくて夜風が気持いいです。
閉めきってクーラー派の人もいると思いますが、やっぱり自然の風が一番ですね。網戸にして虫達の鳴き声を聞きながら時折ふと肌をなでる涼風…日本に生まれてよかった。そんな感じでブログ更新です。

 10代前半〜後半の青春時代、人生で最も多感な時期に強く心を動かされた体験って、大人になっても風化せずに記憶に残り続けるものではないでしょうか。若さ故に色々なものに影響を受け、全てが新鮮だったあの時の感覚は、もう成人してしまった今では味わえないのかと考えると、余計に当時の思い出は後生大事にしまっておきたくなります。

 本類をあれこれ整理してると、当時中学生の僕がこれ以上ない程に熱中してた漫画が出てきました。“アイシールド21”というアメフト漫画なのですが、僕と同世代で知らない人はあまりいないはず。アメフトというマイナースポーツが題材であるにもかかわらず、スポーツ系の漫画で指折りの名作と言っても過言ではない。この作品がアメフトの認知度に一役買ったのは間違いないでしょう。僕の青春時代の一ページです。少しばかりこの漫画の魅力を語らせてください。

 一人一人のキャラの魅力、作画の小気味よさ、目次やオマケページでの遊び心、時折とび出す人生論を思わせる至言の数々…全てが素晴らしかった。突然の能力の目覚めとかでなく、アメリカンフットボールというスポーツを通してのリアルな主人公の成長、仲間達の心の動きを見事に描写してます。

  語り出すと長くなるので、この漫画のおそらく核心であろう“才能への挑戦”という部分について少し。
 ジャンプ漫画のみならず、少年漫画といえばやはり、主人公が強くてカッコよく、さらに修行を積んで強敵を倒していくのが王道パターンですよね。ベタだけど、見ていてスカッとするし、なんだかんだ飽きないです。そして、往々にしてそういう漫画の主人公は血統書付きです。悟空はサイヤ人の息子、ナルトは四代目火影の息子だし、ワンピースはあまり読まないけどルフィもただならぬ血筋みたいだし、ブリーチの一護も…まあ特別な主人公の方がストーリー展開的にも面白くできるからなのかな。そういう点で、アイシールド21は挑戦してるなーと思います。

 主要キャラ達は得意分野はあれど、突出した才能の持ち主達には真っ向勝負では太刀打ちできない。そこをうまく戦略と小手先の技術で猛者たちに台頭し、試合を勝ち進んで行きます。これはポジション間で役割がはっきり分かれるアメフトだからこそ描写できたことだと思うし、そこがこの漫画の醍醐味でもあります。しかし終盤、世界大会編での日本vsアメリカの試合で、全く歯が立たないほどの実力差、それも、どう足掻いても埋まることのない“人種の差”を突きつけられます。どんなに努力しても、天地がひっくり返っても変わることのない、生まれた時から運命付けられていた絶対的な才能差、配られたカードの違い。

 アメリカ戦前夜にヒル魔が口にした言葉にこんなのがあります。
 どんな凡庸な雄にも一つだけ許された権利がある 。それは群れのボスに戦いを挑むこと 。
君はその権利を使って生きても使わずに生きてもいい。

 どうしても勝てない、けれども勝ちたい、そんな“勝利への渇望”。男なら誰にでも胸の内にある“野心”がありありと描かれていて、中学生の僕の心を強く打ちました。アメリカ戦は若干尻すぼみだとか言われてますが、あの辺りを読み終えた後、腹の底から何か熱いものが湧き上がってくるような感覚を覚えたことは記憶にあります。本当にいい漫画に巡り会えた。

 自分の好きな漫画を振り返っていると、テーマ性の強いものが印象に残ってるなと感じました。心に強く訴えかけてくるような漫画っていいですよね。今日紹介したアイシールド21はその点ほんとにオススメなので、まだ読んでない方にはぜひ読んでもらいたいです。

ではまた。